2016年5月21日土曜日

81m@sの春

81m@sとは将棋を題材にしたニコマス動画です。将棋が81マスあるからですね。今この81m@sが熱い!そんな81m@s動画を歴史にそって紹介してみたいと思います。

1. 黎明期

この作品が現存する最古の81m@sタグをつけられた作品です。

【アイマス架空-taleパーティL4U!】春香と学ぶ将棋講座 第1回
事故米P


アイマス架空-taleパーティの1作として投稿された作品。第4回まで投稿されています。架空戦記ではなく、教養講座ですね。本当の初心者向けで駒の動かし方から説明しています。

2. PNP。最初の黄金期

事実上の81m@sの生みの親とも言うべき、PNPがデビューします。

【アイマス×将棋】 アイドルペア将棋(中高生の部)開幕アイマス×将棋】
PNP


【アイマス×将棋】ののワ杯女王戦/架空ドラマふたみっこ(01)


【アイマス×将棋】アイドル将棋列伝~如月千早編(矢倉)


将棋ウォーズで、初段の春香さんが二段を目指す~第1局


PNPが81m@sに起こした革命はアイドルが「対局」をするというところにあります。81m@sを含む、創作対局動画の難しさは見ている人に将棋の強い人がいるところにあります。あまりに拙い対局では当然、ニコニコ動画のよさの一つであるコメントに辛辣なものが増えることになり、悪さになってしまいます。
しかし、PNPの対局は十分視聴に耐えるものであり、と言いますか、むしろわたし程度だともうすでについていけないレベルのもので好評を博しました。
PNPのすごいところは投稿ペースが早いところで、 ほぼ2週に1本の割合で投稿されていました。これは棋譜が自作であることを考えると、とんでもないペースです。
アイドルたちの掛け合いも楽しく、見応えのある81m@sを定期的に見ることができたこの時代は81m@sの最初の黄金期と言っていいと思います。
2016年05月01日に「将棋ウォーズで、初段の春香さんが二段を目指す~第1局」で華麗に復活されました。3作であっという間に二段になってしまい、腕の方も健在なようです。続きがあるそうなので楽しみでたまりません。

3. 眉間飛車P。81m@sの完成

PNPがアイドル将棋列伝でどちらかというと架空戦記と言うより教養講座を行っていた時、81m@s界に衝撃が走りました。

【嘘m@s】「81マスのマーメイド」予告編【将棋】
眉間飛車P


眉間飛車Pの登場です。眉間飛車Pが行った改革で現在の81m@sの土台はほとんど完成されたと言っていいでしょう。それも複数あるのです。
まずは将棋をドラマと完全に融合させました。PNPのふたみっこでもドラマはありましたが、将棋とは分離されていました。眉間飛車Pの81マスのマーメイドは潰れそうな765プロを救うため、律子がアイドル竜王に挑むというストーリーの中で将棋が指されます。咲の将棋版といったところでしょうか。
将棋倶楽部24でR2100という棋力も当然のように作品に寄与しています。PNPの棋譜も十分に見応えがありましたが、眉間飛車Pはその棋譜で何を見せたいのか、ドラマのためになぜその棋譜なのかを視聴者に納得させる力がありました。
棋譜に矢印を用いたのも眉間飛車Pが最初です。これで初心者にもどの駒がどう動くのかがものすごく見やすくなりました。
MMDの導入も眉間飛車Pの功績です。これはまだ追随者が現れていませんが、実際にアイドルが指すという画が見られるという利点は計り知れないものがあります。
眉間飛車Pの特徴としては駒や手に英語を用いるというものがあり、これがまたおしゃれな感じをかもし出していて楽しい動画になっていました。

4. こえだめPの孤軍奮闘

そんな眉間飛車Pですが、2013年8月10日を最後に投稿が止まってしまいます。81m@sの火もここで消えてしまうのか。そんな時に現れたのがこえだめPでした。

【アイマス×将棋】im@s杯オーブンレンジ戦 part01
こえだめP


PNPのアイドルペア将棋のように765プロのアイドルたちがトーナメント戦を戦うシリーズです。事実上2014年、2015年はこえだめPが81m@sの孤塁を守る様相でした。こえだめPのおかげでわたしたち81m@sのファンは絶えることなく81m@sを楽しめたのです。どれだけ感謝してもしたりません。
こえだめP作品は序盤と最後に茶番があり、中盤にアイドルが将棋を指すというものです。失礼ですが、眉間飛車PやPNPほど棋力があるようには見受けられませんが、それでも、アイドルが将棋を指すという根源的な楽しさは十分に楽しめます。逆に、アイドルが将棋を差したらこんなものかというリアリティもあります。
投稿ペースはあまり早い方ではありませんが、現在も精力的に投稿されています。

5. KKPPの衝撃。盤上のシンデレラ

2015年も押し迫った2015年11月01日、一つの動画が投稿され、81m@s界に激震が走りました。

盤上のシンデレラ ~島村卯月はノーマル四間飛車党~ 第1局
KKPP


1作目は、十分すぎるほどの完成度でしたが、まだ、架空戦記としては甘さも見える作品でした。しかし、その高度な棋譜に多くの81m@sファンが度肝を抜かれました。
ほぼ週刊で投稿される動画。みるみるうまくなっていく作品。棋譜が自作ということに驚愕する視聴者。
そして伝説が生まれました。「盤上のシンデレラ ~安部菜々と地獄の検討室~ 第4局」 この作品は2015年11月15日に行われた、JT杯決勝、三浦弘行九段-深浦康市九段の対局にKKPPの検討を加えた作品です。この動画の投稿日は2015年11月21日。1週間も経っていません。プロの棋譜に検討を加えた作品を作るだけでもおかしいです。
さらに、ニコマスだけではなく将棋界(の一部)にも激震が走りました。この時、KKPPが検討して、作品内では楓さんが指した新手が実際にプロの試合で指されたのです。(2015年12月11日の第41期棋王戦挑決トーナメント佐藤天彦八段-阿部健治郎六段)
現在のプロの研究の深さ、量を考えると想像を絶するできごとでした。
また、「盤上のシンデレラ ~小早川紗枝は四間に挑む~ 第10局」では窪田義行六段がtwitterで本局の解説を行うという意味不明な事態が発生しました。プロの棋譜をアイドルが解説する動画。これはわかります。しかし、架空戦記のアイドルの棋譜をプロが解説するということは前代未聞です。

指した手の解説は眉間飛車Pも行っていましたが、「指さなかった手」を描いたところがKKPPの新手かと思います。これによって、将棋指しが何を考えているかの一端が伝わってきて、作品の魅力を増しているように思います。

将棋における数々の問題を取り上げることもこのシリーズの魅力の一つです。「見えすぎるがゆえの早投げはいいのか」「美しい棋譜を残すためにどこまで指せばいいのか」「将棋コンピュータの形勢判断の表示は今のままでいいのか」 などなど。

盤上のシンデレラは架空戦記、ノベマスとしても完成度が高く、本当に驚かされます。

架空戦記には色々なものがありますが、競技を扱ったもので、後世に影響が大きく、かつ、それ自体が素晴らしいシリーズとしては、弓削Pの「アイドルたちのジャンケン大会」、介党鱈Pの「ぷよm@s」があげられると思います。
どちらも、対象となるゲームがうまい。(ジャンケンはオリジナルゲームですが、うまいと言っていいでしょう) アイドルごとに得意な戦法がある。ミスリードを誘う演出で逆転を上手に見せる、と言った特徴があると思います。
現在この手法で大成功しているのがyeさんの「しんでれら・まじっく」でしょう。
盤上のシンデレラもこの系譜に連なる作品だと思います。特に第1局のコメントを見るとKKPPのミスリードに引っかかっている人がいて微笑ましくなります。
得意技があると、アイドルの特徴を立てられますし、将棋で言えばある戦型が好きな人がそれに惹かれてそのアイドルも好きになるというメリットもあると思います。ただし、将棋に限らず、そのゲームが本当に上手い人でないとできない技ですね。だからこそ、輝くのだと思います。

本筋と関係ないのですが、KKPPはKKPPと言う名前なので、本来はKKPPPかKKPPさんと書くべきなのでしょうけど、みんなKKPPと書いてますので、わたしもそれにならいました。

6. そして81m@sの春

盤上のシンデレラのシンデレラに満足していた2016年の春、さらに嬉しいことが起こりました。

【第八次ウソm@s祭り】346プロの細かすぎて伝わらない将棋名シーン集
お茶好きPさん


ケントゥリオPによって3年ぶりに開催された「第八次ウソm@s祭り」にデレマス将棋ブログ界より、Twitterでは「将棋を趣味にした高垣楓bot」さん、ブログでは「とある事務所の将棋紀行」さんが参戦してくれました。棋界のおもしろ話をアイドルが紹介と言いますか、演じてくれる作品でした。

デレマス将棋ブログ界でも盤上のシンデレラは評判で、だからこその参戦なのかと思うと、KKPPには頭が上がりません。

そして、まさかのデレマス将棋ブログ界の闇の天使、将棋グリモワールさんが81m@sに参加してくれました。
神崎蘭子の将棋グリモワールは「神崎蘭子の『第74期順位戦A級9回戦 行方-佐藤天』グリモワール」で、なんと、観戦記を熊本弁で書き上げるという凄まじいことをやってのけました。しかし、度肝を抜かれたのは、その後に「【翻訳版】神崎蘭子の『第74期順位戦A級9回戦 行方-佐藤天』グリモワール」が出た時でしょう。多くの将棋ファンが拍手を送ったものです。

そんなグリモワプロさんが送るシリーズがこれです。

神崎蘭子さんの将棋グリモワール 第1局《真剣師幸子》
グリモワプロ


所属するプロダクションを失った輿水幸子はアイドルであることをやめる。しかし、将棋を捨てることはできない。将棋道場で将棋を指す日々。そんな幸子に蘭子が声をかける。

ブログでつちかった高い文章力。これまた高い棋力によって生み出される楽しい棋譜。盤上のシンデレラよりは物語よりの作品ですが、将棋の方も見る価値ありです。架空戦記でゲームよりノベマス寄りが好きな人には盤上のシンデレラよりもこちらの方がおすすめかもしれません。



わたしは将棋は、もうまったく指しません。相手がいないということもありますけれど、あまりに下手で指す気にならないのです。ですが、将棋を見るのは好きです。大好きなニコマスでアイドルが将棋を指す、最高ですよね。

現在、PNP、こえだめP、KKPP、グリモワプロさんの4人が連載を続けています。願わくば楓botさんの新作、そして眉間飛車Pの復活を。そして、あらたな81m@sPの誕生を。

81m@sが百花繚乱になりますように。

ここに紹介できなかった81m@s作品もあります。

将棋、実際むずかしいですけど、81m@sはコメントもありますし、是非多くの人に見てもらいたいな。世界に誇れる頭脳ゲームと楽しいアイドルのやり取りを見られるのは81m@sだけです!もっと多くの人に見て欲しいと思って、この感想文を書きました。

81m@s、楽しいよね!

2016年5月14日土曜日

旅の終わり メープルP 【旅m@s】楓さんと行く津軽 機関車牽引列車の旅 第十二話(終)

一つの旅が終わった。2013年6月22日に始まったその旅は、3年近い歳を経て、2016年4月24日に終着した。楽しい旅だった。楽しかったが故に、終わりが寂しい。

メープルPの楓さんと行く津軽 機関車牽引列車の旅の感想をネタバレ全開で書こうと思う。

物語はモデルから765プロのアイドルへと移った楓さんの話だ。デビューから順風満帆。それが故に疲れが見える楓さんに社長が温泉旅行をプレゼントする。エスコートするのは楓さんのプロデューサー。そういうお話。